2012年11月27日火曜日

図書館の児童書コーナーで

幼稚園の自由時間にヒエラルキーなるものを理解した。

ブランコ、シーソー、滑り台。
——人気の遊具に挑むのは子供社会のエリート。
鬼ごっこ、鉄棒、ボール遊び。
——こちらは運動神経に自信アリの実力者。
先生の手をつかんで離さないのは、、、
——人生の勝者、甘え上手さんだ。

私はいつも最下層の砂場の隅にぼんやり座り、バケツやスコップの争奪戦にも参加できない。
先生に促されて近くの子が道具を譲ってくれるけど、それでどう楽しめばいいというのだ?
お母さんの持たせてくれるお弁当のミカンの缶詰は「ガンバレ」と言っている。
でも無理! すべてにいたたまれなくなり脱走常習犯に。そして中退。
何だかんだと人生初っ端からやりたいようにやってます。


幼稚園には行かずに済んだけど、昭和の親が言うことはただ一つ。
「子供は外で遊ぶもの」と家から放り出される。でも公園なんかに行くわけがない。だって私は無職だもん。それから昼間は町工場や建設現場、夕方は開店前のスナックやキャバレーに出入りを繰り返していた。


だから職人道や女塾のレクチャーは受けていても、幼稚園で知るようなことがゴッソリ抜け落ちている。多忙な母に代わり、時々姉が本を読んでくれたけど、途中から「アンタのそのムーミンみたいな腹がうまそう、って皆が言っている」という怪談よりも恐ろしい創作ムーミン谷に突入した。ちなみにこの姉は、幼稚園で、小学校で、近所の公園で、すべての遊具をしきる子供社会のマフィアだった。


それでも本を読んでもらいたくて、何度も何度でも騙されてしまう。子供は皆、本が大好き。
でもいつからか自分で読めと言われて面倒になり、読書感想文に苦しめられ、本から遠ざかっていくのかもしんない。本だけじゃなく、パズルを解く、うたう、体を動かす、いろいろ。
図書館で絵本にハフハフしている子供らを見るとこんなことを思い出したり思ったりする。

いずれ自分で自分を縛っちゃう時がくるけどさ。
比べたり競ったり忙しくなるけどさ。
縛り上等、張り合ってナンボ。
何度でも負けておけー。
本はいつでもそこにあるし。
人生何とでもなるし。

オヤジが飲み屋で焼酎やっちゃいました的な言葉を心のなかで呟く。
その気配に気づいたのか、振り返った視線が痛い。
お客さーん、閉店だよー。
さてうちに帰るかねー。


▼今日借りた本
天文台へ行こう/古在 由秀・著
子どものための文法の本(1〜3)/ながた みかこ・著
おとぎ話の幻想挿絵/海野弘・著
日和下駄/永井荷風・著
日本語教室/井上ひさし・著
複雑さと共に暮らす/D.A.ノーマン・著
知りたがりの、お菓子レシピ/小嶋ルミ・著

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